テクノを聴く人ならば誰もが知るであろう、かのベルリンラブパレード創始者である偉大なDJ、DR.MOTTE。重低音ドローン上をたったひとつのフレーズの反復が徐々に現れ、緩やかに姿を変えてゆくことで深遠なるトランスワールドを築き上げた名曲「ユーフォリズム」(本作では Analysed Force というタイトルで収録されている)の果てしなく煌びやかな音世界と比べてしまうと、それ以外のほとんどの曲はあまりにもしょぼいトランステクノばかりでどうでもいい内容。ラスト1曲のノンビートも、あまりに単調に続く変なドローンが心地悪いです。
レビューを書こうと思ったが、買ってから6年間で数回しか聴いてないし特に言葉が出てこない。ビートは太いです。30.7.94.と比べるとずっと太い。作りもシンプルだし展開も少ない。いかにもテクノって感じ。あとデザイナーズリパブリックのジャケはかっこいい。アンビエントの先駆者みたいな帯のキャッチコピーに魅せられて買ったのですが、どうなんでしょうか、この1stは。
日本独自企画盤。初期のクラシックとして有名な Beltram / Energy Flash なんかはただただ地味なだけにしか思えないが。個人的にはやはり Dave Angel / Free Flow を筆頭に The Source Experience, c.j.bolland のスピード感ある四つ打ち3曲がずば抜けて好きだ。ラストの Sun Electric のデビューEP「O'locco」のリミックスはかなり異色作(オリジナルを聴いたことが無いのでよくわからんが)。やたら色んなバージョンがあるが、ここでは Orbital Therapy Part4。かわいらしいメロディ+女のエロ声+ホラーな感じすらするコントラバス?のサンプルというはちゃめちゃな取り合わせが面白いが、何となく後味の悪い終わり方である。
ベルリンのR&Sを拠点にレイブ時代からハードなテクノの代表的存在であった CJ BOLLANDのメジャー移籍して最初のアルバム。 「There Can Be Only One」 カッコよすぎ。シャンシャンと打ち鳴らされるハットが特徴的な四つ打ち+ブレイクビーツのコンビネーション。また、 「Counterpoint」は、キラキラ光る空間を、馬が疾走するかのごとくファットな四つ打ちキックがグイグイ引っ張ります。こんなのフロアで大音量で鳴らされたら、昇天しそう。
テクノを聴きはじめて最初のマイ・ヒット曲がDAVE ANGEL / Free Flow。デトロイトテクノに触発されたクールな四つ打ちトラックが、当時思い描いていたテクノ像にぴったりはまったからです。この曲は R&Sからリリースされた 「3rd Voyage EP」からの曲ですが、同EPの 「Endless Motion」、「Fallen Destiny」、「Brother From Jazz」は全曲愛聴曲。深遠なるハーモニー、その中を疾走するリズムが素晴らしい。特に 「Endless Motion」は永遠のクラシックともいうべき大好きな1曲。あと、 「IN ORDER TO DANCE 5」収録の 「Abyss」も必須!
URへの信仰心丸出しにした冒頭の「Mad Mike Disease」から始まる本作は、2nd同様宇宙遊泳型ハイテクジャズ。「Dark Eye Tango」のような浮遊感たっぷりなものから、「Dayride」、「Granpa's Drawers」といったストレートに宇宙を直進しているようなダイナミックな力強さのあるものまで、大変素晴らしい。なお、ジャケが変わって再リリースされたCDは1曲差し替えられ、穏やかなフロウにスムースな四つ打ちがグイグイと突き進む初期の傑作シングル「Monkey Jazz」が収められているので必聴!
西ドイツに亡命し、大箱系のトランスDJとしてすっかり名を馳せたPAUL VAN DYKですが、96年作のこのアルバムがリスニング向けな感じでなかなか好きです。トランス臭さはほとんどなく、ドリーミーなサウンドスケープを描き出すテクノです。特に美ジャケでシングルカットされている 「Forbidden Fruit」はロマンチックなメロディーでかなりの名曲です。個人的には 「Greatness of the Britain」が最高で、静かに雨が降る中、やわらかい四つ打ちが走ります。
PFMは自身の曲以外にも数々の名作リミックスも残しており、JMJ & RICHIE / Free La Funk や Mandalay / Flower Blossom あたりは思い出に残る素晴らしい作品です。個人的ベストワークを挙げるなら間違いなく St. Etienne / The Seaのリミックスでしょう。拍数が多く、流れるようなブレイクビーツもさることながら、中盤フェードアウトしてから一瞬の静寂後、美しすぎる展開に感涙…。
avexから出てるテクノのコンピなんて...と侮るなかれ。これはなかなか面白い。更生不可能のテクノとか謳っているだけあって、ノイズ・インダストリアル系テクノ、ジャングル、ゴア・トランスなどのイルな音を集めてMix。実はひそかに有名な GREEN VELVETや SHY FXなんて名前も。注目曲は、BPM190でバカみたいに突っ走るTHE SPEED FREAK (I Otakuなんて曲も出してるガバの人) 「The Killer」、アシッドなR-ZAC23 「Apocalyptic Heroes」、その名の通りハネまくるFOULPLAY 「Stepper」、そして圧巻はPHASE4 「Meet the Dentist」。何これ、ビッグビート?ってな感じのブレイクビーツにウソくさいスクラッチが乱れ咲く。
今なお燦然と輝き続ける、珠玉の最高傑作!Rob Playfordも言っているが、97年頃からドラムンベースに明確な2つの潮流が見え始め、その1つがジャジーでアンビエントな流れであり、その集大成がこのMix CDの前半である。その名の通りRhodesの音色が美しくスムースなステップの FLYTRONIX、官能的なエレピの響きとジャズのグルーヴを醸し出すベースラインが素晴らしい HOAX、フルートやサックスなどの生楽器のセンスとドラムンベースの力強いビートを掛け合わせた EZ-ROLLERS、ディープでアトモスフェリックな JMJ & FLYTRONIX、丹念に作り上げられたブレイクビーツと哀愁漂うメロディーの DAVE WALLACE、そして AQUASKY、 BLAME... オーナーRob Playford自らによる完璧なまでにスムースなDJ Mixがこれらの曲の良さを一層引き立てている。ジャジーなドラムンベースがいかなる進化を遂げようと、結局行き着くところはここ。これに勝るものなし!
テクノのレーベルR&SからリリースされたDrum'n'Bassのコンピ。 Kenny Larkin, MODEL500といったデトロイトテクノの音を Alex Reece, Wax DoctorらがRemixしているあたりから、ジャンルは違えどリンクしていると感じます。注目すべきは、 FREE HAND / Glide の転がるように滑走する Rollin' & Drivin' なドラムンベース。ジャジーなウワモノ&ベースラインが最高で、あらゆる点でドラムンのもっとも魅力的な部分を突いてきます。キングオブドラムンベースに決定!この FREE HAND、残念ながらその後は不明なんですが。また、 4heroの生音系ブレイクビーツの伏線だったJacob's Optical Stairwayによる早くも 「Two Pages」の片鱗をうかがわせる素敵な歌モノ 「Solar Feelings「も収録されており、必聴なコンピでしょう。
当時のWARPの主要アーティストすべてを網羅したDJ FOODによるコスリもありな超楽しいDJ Mix。 DISJECTA- AUTECHRE- LFO- PLAIDの、初期ブリープの影響が垣間見えるダンサブルでゴリ押しなエレクトリックビーツの連発がカッコいい。中盤から B12や BLACKDOG, ELEKTROIDSのA.I.サウンドで攻めてきたかと思えば、DJ MINKでスクラッチをバリバリ決めて、奇人 JIMI TENORのスモーキーな 「Down Town」へとつなげていきます。そしてやはり APHEX TWIN, SQUAREPUSHER, μ-ZIQの3人は光っており、スローかつファットなロービートにAFXらしい奇怪なサンプルをのせた 「Ventolin」や、高速ドラムンベースの SQUAREPUSHER / Problem Childは凄まじい。
Boymerang がなんかのバンドのメンバーでもあるという話は頭の片隅に微かに残っていたが、ふと Type Records の Xela のミックスで聴いた Bark Psychosis が気に入って調べていたら、実は Boymerang こそが Bark Psychosis のボーカリストだったという事実を知った。これは興味深い。ついでに Boymerang を久々に聴き直す。1曲目の Soul Beat Runna がスペイシーなシンセ+デンジャラスに走るビートでぶっちぎちでかっこいいのだが、他の曲はどれも Metalheadz 系寄りな音が中心。日本版のみのボーナス Urban Space もナイスなのだが、なにしろどちらの曲も DJ FORCE Style Stage 3 でのミックスの方が断然かっこよく、あえてアンミックスト・フルレングスで聴く必要もなかったり。
DILLINJAとLEMON Dというハードステッピンなドラムンベースの最前衛二人がグルになったらそりゃ危険極まりないでしょうよ。レーベル VALVE の第一弾シングルとしてリリースされた本作は、その名も 「Violent Killa」。緊迫した空気が張り詰める中、全てを破壊するかのようにたたきつけるへヴィなビートが荒れ狂うAmenブレイクと交錯する。ちなみにLEMON D単体の曲ではひそかにSUGIZOのRemix作がベストだと思う。
DILLINJAの作品はどれもただハードなだけでなく、サイバーな空間性が強い。 「Silver Blade」はそれを象徴する一曲で、GROOVERIDERいわく「Futuristic Blade Runner」。近未来のサイボーグが疾走するようなデンジャラスかつグルーヴィーな曲。一方、DILLINJAの盟友 LEMON Dはハードなグルーヴの中にジャズやファンクの黒い要素を入れるのがうまく、 「City Lights」は背後の空気が微妙に揺れ動くようなファンキードラムン。 JOHN BやED RUSHらのゴリ押しのハードかつダークなトラックも良いです。ED RUSHといえばやはり 「Funktion」がベストですが。
デトロイトテクノ色濃い初期の傑作シングル。希望の光へ向かって一直線に突き進むような力強さと美しさを兼ね備えたマシンソウルミュージック。ストレートなフロア仕様の四つ打ちテクノ~ハウスビートに、コズミックなシンセが雄大な弧を描き、キーボードのメロディーがまばゆい光を放つ。また、同じく初期の傑作シングルとして 「Tattoo Jazz」も非常に素晴らしい。力強いビートの上を瑞々しい響きのビブラフォンが舞い勇敢なメロディーのあまりのカッコ良さに、時には元気付けられ時にはほろりと涙を誘う、永遠のクラシック。
PFMことProgressive Future Musicは、炭鉱で働いていたふたりがLTJ BUKEMの音楽を聴き、音楽つくりに目覚めたというエピソードを持ちます。ドラムンベース誕生の頃から、未だその輝きを失うことの無い名曲 「One & Only」や 「The Western」といった数々のクラシックを生み出している、真に才能に富んだクリエイターだ。 GOODLOOKINGで数枚のシングルをリリースした後は Moving Shadowのコンピレーションに時々曲を提供していましたが、コンピ 「STORM FROM THE EAST2」 収録の 「The Eleventh Hour」はタイトル通りの夜想的なアンビエンスが素晴らしい1曲。
何せMixがKEMISTRY & STORMのKEMISTRYだけあって、選曲センスが幅広く抜群でMixも上手いという出来の良さです。1曲目のCICANEからBLU MAR TEN / The Fountain, STATE LOGIKへのつなぎ方なんぞ大変勉強になります。 BLU MAR TEN の曲はまさに泉のようなリキッドサウンドが美しくて素晴らしい。4曲目からはDIGITAL, BOYMERANG, RONIなど、男気溢れるドラムン連発。特に OPTICAL / Cryogenesis はファットなビートが男の中の男!PHOTEK / ニ天一流にも通じるような静と動のバランスが最高です。思えば1998年以降のドラムンベースにはこういうリズムの組み方の面白いものがめっきり減ってしまったような気がします。中盤は疾走感に富む A FOREST MIGHTY BLACK などを経て、ジャジーかつ丁寧に組まれたドラムが良い SUBJECT 13の名曲 「Mystical Flyte」へと続きます。さらには淡々と進行するビートの上を変態系サンプリングが飛び交う DJ KRUST / Soul in Motion へとMixしますが、この一見毛色のまったく違う2曲を何ら違和感なくつなげてしまうところが上手すぎです。
ひょろい風貌でAphex Twinにデモテープを渡したときにはオタク青年と思われたというマイケル・パラディナス。AFXに比べるとシリアスですが、奇人ぶりは同じ。有名な2曲目「Hasty Boom Alert」なんて仰々しいまでの壮大な美メロですが、それに相反するようなファットなドラムンベースやスローなブレイクビーツなどが色々かぶさっている。「IN ORDER TO DANCE 5」の解説に書かれている「畸形のユートピア」という表現がズバリ言い当てているでしょう。しかしわざとかどうかわからないけど、ところどころ音質が悪いのが少し気になる。
「未来ビート同盟」とはなんともありがたい名前ですが、その名前どおり未来感覚あふれるエレクトロニックなビートが聴きどころの、イタリア発4曲入りEPです。ブレイクビーツとハウスのコンビネーションに、浮遊感のあるパッドというタイプの曲をメインとしていますが、「BRK 1999」にみられるような720°系のドラムンベースっぽいものもあり。真打は、「Time Will Tell」。宇多田光ではない。終盤ハウスになってからのファンタスティックで優しいメロディーがなかなか良いです。未来的とはいえ、わりと和み系なのでビートに力強さはありません。
Transmatより、John Beltran他3人による共作。他の2人については詳しくは知らないが、Sam McQueen という人は Placid Angels のアルバムで1曲参加している。音の方はレーベル柄か、ややアグレッシブなBPM速めのテクノ~ドラムンベースっぽいブレイクビーツなど、ほとんどフロア向けサウンドです。ウワモノにややベルトランらしさが出ている程度だが、ラストの「Snowdrifts」だけは緩やかなビートに太古の息吹を感じるようなシンフォニックなアンビエントが重なり合う壮大な音を聴かせてくれます。
ミニマル王子(?)サージオンのアルバムです。キックやハットなどの必要最小限の音だけで構成されたストイックな音世界ですが、そのグルーヴ感は異様なまでに凄まじい。特に1曲目の出だしにおけるざらついたノイズをまといながら厚みのあるぶっといキックが疾走する様には、どす黒いファンクネスを感じ取ることができます。また、1曲目のPartの変わり目の野外録音なんかはヘッドホンで聴かないとわからないような音ですが、一見フロア仕様でありながらも細部へのこだわりも。デトロイト風の空間的なパッドの曲もあり。
Voidを中心に、Archiveなどのレーベルから数枚のシングルをリリースしているFBAのデビューアルバム。FBAは何気に名曲 Ian O'Brien / Midnight SunshineのRemixもやっており、ジャズ寄りのアーティストとも交流があるもよう。けれども音の方は断然テクノ色が強いといえるでしょう。拍数の多いビートがかっこいい 「Numerical Noise」、トランシーなウワモノと跳ねるビートにメロディアスな 「Back Stroke」、柔らかいパッドと疾走感ある四つ打ちの 「Audio Photo」 など、デトロイトテクノ的な音使いでわりと和めるホームリスニング対応作品。
最近活動を再開したらしく、Metalheadzのコンピアルバムが久々にリリースされました。参加アーティストはGOLDIEを筆頭にDOC SCOTT, PHOTEK, SOURCE DIRECTなど、昔から変わってない顔ぶれ。RUFIGE KRU は壮大な弦楽と物憂げなピアノのフレーズから始まり、鋭くアップリフティングなブレイクが切り裂くように入ってきます。JOHN B は穏やかなフロウと跳ねまくる2ステッピンなドラムンベースが最高にエクスタシー!HIDDEN AGENDA は2ステップやブロークンからの影響もあるファンキーかつジャジーな曲で、好感が持てます。これら以外は NATHAN HAINES 絡みのユニット、SCI-CLONEの曲を除いてすべてダーク~凶悪系ですが、とりわけDIGITALはファンキーでかっこよく、光っている。
Substanceなどの名前でも知られるScionが、Basic Channelのバックカタログの中から数枚の作品を素材として、再構築したCD。地底から鳴り響くようなくぐもったキック音が幾重にも重なりながら反復し、 深い霧の中を突き進むかのようなハードグルーヴは一切の色気が無く激シブであり、徐々に移り変わる風景のように長いスパンで展開してゆく、これぞミニマルテクノというべき音です。単に曲を繋げたものとはまったく異なり、ソフトウェアとライブアクトの可能性を追求するべく1曲の中で複数の素材を使って新たに再構築されており、Basic Channelを知るには好都合な内容。
王道を行く四つ打ちテクノ~ハウス。特別変わったところはないけど、どれも良質。特にコズミックなデトロイトテクノ調では同じく Transmat の Aril Brikha とともにかっこいい。コンピ Time_Space 02 にも収録の BC Style の Vinyl Mix ではトランシーなフレーズのループと力強いビートにぐいぐいと導かれながらじわじわと盛り上がっていく展開にやられる。同じタイプの Adelaide も吸い込まれるような絶品の美しいフレーズのループにもっていかれつつ、四つ打ちとパーカッシブなビートとのコンビネーションで攻め立てる。一方 Exotica のようにややBPM緩めのハウスも○。
とりあえず冒頭3トラック目までのダビーな流れが気持ちよくてそこばっか聴いてる。まだ全体を把握できてない。DVD版は100分近いロングミックスで、使用された数々のトラック名が浮かんでは消えてゆく。
『Duplex 待望のアルバム。 Duplex はクオリティの高いディープな都会的テクノを生み出すロッテルダム郊外のプロデューサーである。 Timelessな11曲は、ダンスフロアにも夜の都市のドライブにも最適である。これまでの Duplex の作品を聴いた人は、彼らのクオリティの高さと真のテクノへの愛を知っているだろう。ディープなベースライン、美しいシンセとスムースでダーティなドラムマシンの音が重なり合った、アトモスフェリックな作品。 CDは11曲と、その別バージョンが収録されている。エッセンシャルなアルバム!』
2001年になぜかアンビエント系サブレーベル Apollo から Afronaught の作品がリリースされて以降、俺の記憶では音沙汰無しだった R&S であるが、あれから数年を経てついに甦った模様。ホームページではさながらクロニクルといった様相で黄金期の名曲を耳にすることができる。浮遊するようなイントロから一転、近未来都市を疾走するケンイシイ Extra は何度聴いても素晴らしいな。それとなぜか CJ Bolland が無いぞ。カマーグ、いや個人的には Springyard が。