竹村延和 : こどもと魔法
竹村延和にとって音楽をつくりだすインスピレーションの源は、ふとした日常的なこと(たとえば合わせ鏡の作り出す不思議な光景やふと思いついた語呂合わせ的な言葉)や外国を旅したときの記憶などといったものであるらしい。 そういったイメージからできあがる音は、ヴィブラフォンやハープなどの心地よい音を素材としながらも、構造的には既存の概念をかるく跳び越してしまうとても奔放なものとなっている。 それはもはや、実験音楽、コラージュ、ミニマル、テクノ、ジャズ、アンビエントなどといった音楽的要素の羅列では語ることができない。しかし心地良い音を妨げるかのようなノイズや分裂症的な部分も2割くらいはあるのも確かだ。だが、稚拙さすらうかがわせる残りの大部分に、こどものようなピュアな心象風景を見いだすことができる。