THE KLF : Chill Out
1週間で作ったシングルがUKチャートで1位になるものの、数々の奇行で音楽産業に与えた衝撃は底知れず (※1) 、著作権解放戦線こと The KLF の90年のアルバム。アンビエントの歴史に名を刻む1枚として未だなお語り草になるこの作品、実際純粋なアンビエント的要素も強いものの、スチールギターが夢見心地のメロディーを奏でたり、アンビエントハウス的なリズムをとったり、モンゴルのホーミー族の呪術的な歌声があったり、どこかでラジオが流れているようなサンプリング・コラージュがあったり、ちょっと遠くでエルビスプレスリーが唄っていたりと、とにかく一口にアンビエントとは括りきれない不思議なサウンドが延々と鳴りつづけています。特にフィールドレコーディングが効果的に使われており、 どこかのある特定の風景を想像させるわけではなく、どこにも存在し得ない現実と空想の狭間のような不思議な空間を想像させ、さらに列車の音がそんな空間を次々と移動しているかのような聴覚体験をさせてくれる。眠れない夜なんかにアルバム通してじっくり聴きたい1枚。