KETTEL : Volleyed Iron
どこか古ぼけた映画のスコアを思わせるような憂いに満ちたピアノや、ヨーロッパの地が思い浮かんでくる日常音なども多用された、架空のサウンドストーリー。グリッチやリズムに依存しない純粋な生音~メロディアスアンビエント作品としては、近年稀に見る完成度の高さではなかろうか。さらには面白いことに、永遠に続くかのような深海遊泳に浸っているのもつかの間、突如どこからか電話のベルが聴こえてくるといった違和感も巧みに利用されている。しかも電話の音が途切れた直後、澄み渡るような広がりを見せる Clock.exe がまた奇跡的に美しかったりもするのである。そう考えるともしかしたらこれは電話ではなく目覚まし時計なのかも。