SENKING : Silencer
Fumble, Kandisなどの名義でも知られるSenking、この名義での作品はどれも音数は少なくてかなりダブ度が高く、いわゆる深海エレクトロニカの一種といえるだろう。特筆すべきはその厚みのある低音で、底無し沼のような低音域の上を、輪郭のはっきりしない不明瞭な音塊が浮かんでは消えてゆき、ひたすら無彩色な漆黒のサウンドスケープが続いてゆく。あまり多くを語らない曲名などから感じとれる雰囲気に、曲調ともどもけっして日の目を見ない暗さがある。 また、Rastor-Notonからリリースの、21世紀のための12枚というコンセプチュアルなシリーズ「20' to 2000」での1作は、個人的には Senking のベストに挙げたい作品だ。 海底数千メートルを漂っているような、どろーんとした暗いドローン音が作り出すうねりが素晴らしく、細やかな音がリズムを刻む。